いつかは直面する親の介護問題。
まだ先のこと…と思っていても、病気やケガなどによってある日突然、介護が必要になるかも知れません。
子育てと介護を同時期に行うことを「ダブルケア」といいます。
内閣府が2016年に行った調査によると、自分の親(義理親・祖父母)の介護と未就学児の子育てを同時に行う人は推計約25万人で、30~40代が全体の約8割を占めています。
30~40代といえば共働きも多い世代ですが、ダブルケアによる負担が原因で、やむなく仕事の業務量や時間を減らした人は男性で約2割、女性で約4割。
そのうち「介護離職」に追い込まれた人は男性2.6%に対し、女性は17.5%と働く女性の負担が特に大きいことが伺えます。
ただでさえ、育児と仕事の両立で忙しいワーママ。いざというとき慌てないために、ダブルケアの対処法についてまとめました。
出典:「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」(内閣府男女共同参画局)
ダブルケアに備えてやっておきたいこと
①自治体などの介護サービスについて調べる
親が住んでいる地域の自治体でどのような介護サービスがあるのかを調べておきましょう。各市町村に設置されている「地域包括支援センター」へ行けば、高齢者に関する幅広い相談に無料で対応してもらえます。
また、公的サービスでは行き届かないところは、お金はかかりますが民間のサービスを利用するのも手です。
たとえば、ホームヘルパーや家事代行サービス、介護タクシーなど、時間のある時にチェックしてみてはいかがでしょうか。
②親や兄弟と介護について話し合う
親が元気なうちに、介護について家族でよく話し合っておきます。
なかなか話題にしづらいことですが、遅くとも親が70歳、あるいは自分が40歳になる頃には話し合っておくのが望ましいでしょう。
親に確認しておきたいこと
- 要介護状態になった場合の親の希望(自宅で過ごしたい、施設に入りたいなど)
- 健康状態
- 生活する上で困っていること
- 資産のこと(預貯金の銀行口座や暗証番号、年金、借金の有無など)
- 入っている保険
- 交友関係 など。
兄弟や親戚と話し合っておきたいこと
- 介護が必要になった場合の役割分担(誰がメインで介護をするのか)
- 介護費用の援助(親の資産が足りない場合)
- 介護の方法(施設に入れるor自宅介護) など。
③介護休暇や介護休業について調べる
介護を理由に仕事を辞めてしまうのは、経済的にも精神的にもできれば避けたいところ。
介護の態勢が整うまでは「介護休業」や「介護休暇」を活用して乗り切りましょう。
介護休業とは
「仕事と介護を両立するために必要な期間」として、定められた休業期間です。
介護の必要な家族1人につき、最大93日まで取得可能。休業中は原則として無給ですが、会社によっては支給される場合もありますので確認しましょう。
また、雇用保険の被保険者が介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと「介護休業給付金」の支給を受けることもできます。
パートであっても、以下の要件を満たせば介護休業が取得できます。
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
- 介護休業取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、契約の更新がされないことが明らかでない
詳しくは職場で確認してみましょう。
介護休暇とは
要介護状態にある対象家族の介護や、お世話(通院の付き添いなど)をするときに、年次有給休暇とは別に取得できます。
対象家族が1人なら年に5日まで、2人以上なら年に10日まで取得可能です。
パートやアルバイトでも取得できますが、「日雇い労働者」「雇用期間が6ヶ月未満」「1週間の所定労働日数が2日以下」の場合は適応外になります。また、介護休暇を取得した時の賃金は企業の判断に委ねられます。
④子どものケアをどうするか
まだ手がかかる未就学児の子育てをしながら、介護をするのは想像以上に負担が大きいです。
ソニー生命が行った「ダブルケアに関する調査2018」によると、「ダブルケアで不安(気がかり、心配)に思っている(いた)こと」は、「家計・経済状況」(41.0%)に次いで「子どもへの影響」(39.1%)を挙げる人が多く、介護によって子どもに与える影響について悩んでいる人がたくさんいることが分かりました。
出典:「ダブルケアに関する調査2018」(ソニー生命)
古い価値観により育児や家事の担い手は女性に偏りがちです。母親メインで子育てを行っている家庭では、介護の負担が増えることで子どものケアが十分に行えなくなります。
その場合、父親が中心となって子育てを行う、仕事の都合でそれが難しい場合はファミリーサポートなどの手を借りるといった対処が必要です。
また、ダブルケアで悩んでいても周囲に相談しづらく、一人で抱え込んでしまうケースも多いです。
子育てや介護で困っていることがあるなら、遠慮なくケアマネージャーに相談しましょう。
ダブルケア当事者同士が集まり、悩みや愚痴について話すコミュニティ「ダブルケアカフェ」などを利用するのもおすすめです。悩みを共感してもらえれば、気持ちがラクになりますよ。
もし介護が必要になったら、最初にすること
介護保険サービスを利用するために、「要介護認定」の申請を行いましょう。
要介護認定とは、介護保険サービスの必要度(どのような介護が、どの程度必要か)を判断するためのもの。
介護ベッドを購入したり家をリフォームしたりと介護には何かとお金がかかりますが、介護保険サービスを利用すれば自己負担額が1割(一定以上所得者は2割または3割)で済みます。
申請はお住まいの市区町村の窓口で行います。認定が下りるまで時間がかかりますので、なるべく早く済ませておきましょう。
要介護度認定は7段階の区分(要支援1~2、要介護1~5)に分けられ、区分ごとに介護サービスの利用限度額が定められています。
※額は介護報酬の1単位を10円として計算。
出典:「区分支給限度基準額」(厚生労働省)
限度額内で介護サービスを利用した場合、1割負担(収入の多い家庭は2~3割負担)で済みますが、限度額を超えた分は全額負担となります。
もし自己負担額が大きくなってしまっても、「高額介護サービス費」制度によって自己負担の上限が決められていますので、ご安心を。
まとめ
少子高齢化の影響により、ダブルケアの問題に直面する人が増えていくことが予想されています。
ダブルケアを乗り切るためには、事前の準備と周囲の協力が欠かせません。
行政サービスや民間のサービスもうまく取り入れつつ、周りの方と協力して、一人だけに介護の負担が集中しないように注意しましょう。
また、職場によっては介護休業や介護休暇が取りづらいところもあると思います。
その場合は思い切って時短のお仕事に転職するのも良いでしょう。
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